「芥子粒のような、」と表現される細かい細かい種子、ポピーシード。日本ではアンパンのトッピングでお馴染みです。あと気づいてる人は少ないと思いますが、七味唐辛子にも必ず入っています。今度お蕎麦などに振りかける前に少し手のひらにとって探してみてください。このわずかな歯ざわりと香ばしさを唐辛子に混ぜたあたりの日本人の味覚センスには感動です。

 インドではカレーのとろみ出しにすり潰して使われます。油分が約50%も含まれているため滑らかないいペーストとなり、値段も安いので西インドの料理などによく使われます。このとろみに対して高級なのはカシューナッツのペーストですが、それぞれまた違った良さがありますね。

ヨーロッパ産のポピーシードはややグレイがかっていてお菓子に使われます。インド産のものはきれいな白っぽいクリーム色。そして少し小粒です。カレーに使うとき困るのはあまりにも小粒なためフードプロセッサーなどではペーストにならないという点です。私はインドの石のミルを持っているのでそれでゴロゴロとすり潰しますが、擂り鉢では溝に粒がはまってしまうのが難点です。

ケシの花は私が不思議に惹かれる花のひとつです。うぶ毛のついたつぼみがポンッとはじけて縮れた花びらがみるみる広がる様はまるで生きている少女が大人になってゆくよう。華麗ですが、どこかに生々しさを感じる花です。そういえば、真っ赤なケシの花は欧米では戦争で死んだ兵士の花。流した血の色に例えられて殉死した者のシンボルです。

そして忘れてならないのは「阿片」。理論的には阿片となるケシの種もポピーシードです。しかしこの品種は厳しく世界中で栽培が禁じられているため市場に種が出回っているとは考えにくいようです。200とも言われるケシの品種のなか、食用に安全なものが市販されています。ところが近年のベーグルパンのブームでアメリカではベーグルを食べた人の尿検査で微量の阿片が検出されたとの報告もあり、そこは植物ですから混植することで種がまざったりすることも考えられ、きっと人智の及ばぬこともあるのでしょう。
歴史を大きく動かした「阿片」を産出する植物、ポピー。「食」を離れてその歴史に想いをはせるのも、スパイスのひとつの味わい・・・・ですね。
 
 


   
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